非常に美味なケチャップライスを前に、俺は手を合わせて頭を下げていた。
「ごめんてば」
 その相手であるレフィは、フンを鼻を鳴らして俺を見下ろしている。
 わりと小柄なコイツに何故俺が見下ろされているのかというと、答えは簡単。
 俺が椅子に座り、レフィが目の前で仁王立ちをしているからだ。
「他に言う事はないわけ?」
 どこまでも偉そうにゆるりと微笑むその様は、実にコイツらしい。“傲岸不遜”という言葉を実体化したら、きっとレフィみたいなヤツになるだろうと俺は思っている。
「あー。読書はキリのいいところでやめるようにします。できるだけ」
「できるだけ?」
 声が冷たい。俯きながら俺は冷や汗をかいていた。
「訂正します、すみません。絶対やめます」
 レフィの視線が俺の頭の辺りをうろついている。俺は顔を上げた。しばらくして、レフィはコホンと小さな咳払いをして明後日の方向を向いたかと思うと、
「……まあ、許してあげなくもない、かな」
 耳に届くか届かないかという微かな声で呟いた。
 自然と顔が綻んでいくのがわかった。今すぐにでも抱きつきたい気分だ。 そんな俺の様子に気付いたのか、レフィはまたプイと横を向いて「絶対だからね」と素っ気無く言った。
 こういうところは変わらない。
 ただ、ここで「可愛い」などと言ったら、コイツはまた烈火の如く怒り出すだろう。確実に怒る。
 それだけは勘弁してほしい。
「じゃあ、遅くなったけど、買い物行くか」
 俺が立ち上がってそう言うと、レフィは笑って頷いた。





俺と彼女 その後
勢いで抱きついたら、珍しく笑って抱きしめ返してくれた。 幸せだ!
オマケっていうのは、普通、本編と一緒にUPするモノであるような……。 まあ、気にしない方向で。 ついでにレフィはツンデレイメージで書いてます(お前   08/11/02  Thank you.